化粧品に使用される成分「ラノリン」は、
羊脂を精製することで得られるロウ類の一種で
高級脂肪酸とコレステロール類と高級アルコール、
これらの混合物で構成される脂肪のような物質のことです。
ロウ類に属するラノリンは水に溶けないのに吸収する水の量は約2倍。
更に優れた乳化性と肌や髪の毛への親和性や湿潤性等に富むことで、
様々な化粧品に配合されてきました。
ですがラノリンはニオイやアレルギー性等といったデメリットがあるため、
ラノリンの特性を残しデメリットを排除した他の物質が開発され使用されています。
その内の一つに「ラノリンアルコール」があります。
これはラノリンを加水分解することで得られる
黄褐色をしたロウ状か軟こう状の物質です。
ラノリンアルコールはラノリンの不けん化物より石けんを除き作られます。
これによりコレステロールの含有量がラノリンより多くなるため、
保水性と乳化性に優れていることから
各種化粧品では乳化助剤として使用されています。
但しラノリンアルコールは酸化変敗しやすいことから
酸化防止剤の併用を余儀なくされることが多く、
これにより稀に刺激作用が起こる場合があります。
更にラノリンアルコールに水素を添加した物質があります。
それは「水素添加ラノリンアルコール」と呼ばれるものです。
ラノリンアルコールに水素を添加することで
ニオイと色が変化しやすいというラノリンアルコールのデメリットを克服し
その安定化を図った物質が水素添加ラノリンアルコールとなります。
化粧品成分としては、
・肌への湿潤性と親和性に優れている
・乳化性と分散性にもいい影響を与える
等の特徴があることから
・各種クリーム
・ローション
・頭髪用化粧品
等、様々な化粧品に配合することで
製品の状態や外観を改善することができます。
他にも
◆ヒドロキシラノリン
目的:油剤、結合剤、皮膚コンディショニング剤
説明:ラノリンをヒドロキシル化したもの
◆ラノテスロール
目的:皮膚コンディショニング剤、ヘアコンディショニング剤
説明:ラノリンより得ることができるステロール
このような成分もあります。
【総評】
ラノリンはアレルギーが発生する可能性が低い成分とされているので、低刺激性の化粧品にも配合されているため、そんなに心配しなくても大丈夫だと思われます。
但し100%アレルギーが起こらないとは限らないので要注意。